
物件紹介
まだ私たちが事務所を立ち上げて間もない頃、この「ヒカハウス」のお施主様との運命の出会いがありました。ファッションやインテリアが大好きで、優しい微笑みがお似合いながらも意志の強い奥様と、まだあどけない小さなヒカちゃん、そして奥様とお嬢様をこよなく愛する男気のあるご主人の3人家族。
家を新築するにあたり、施工はご主人のお父様の知人である大工さんに依頼することが決まっておられました。ただ、施工技術には厚い信頼を寄せながらも、ご自分たちの要望やセンスを理解し、希望の住まいづくりが出来るかには不安を抱かれ、設計者を探す中で私達との出会いがあったのです。
ご主人はお忙しく、お打合せはもっぱら奥様と私達で進めていきました。始めはまだぼんやりとしたイメージからの出発でしたが、お打合せを重ねる中で「家事動線がよく、暮らしやすい家」「和でも洋でもなく、好きな北欧アンティーク家具の似合う家」「センスがいいけれど落ち着いた、温かい雰囲気で帰りたくなる家」等々がキーワードとなっていきました。そうして計画を進める中で、「ひとつ屋根の下」という言葉が浮かんできました。将来的に太陽光搭載の可能性も含めて南側に大きな片流れの屋根の形状とし、シンボリックな「お家」の形にデザインすることを最初にご提案しました。
南側に隣接する住宅が迫っていたため南東に開くことを選択し、東向きに大きく窓をとることからスタート。程よく天井高さを確保するために吹き抜けを作り、2階の屋根裏部屋のような雰囲気を活かしながら1階のリビングとつながりを持たせ、いつでも家族がつながる感覚を大事にしました。
特に長い時間を家で過ごす主婦目線で家事動線を考え、家事がスムーズにできるよう家の中心にキッチンを置き、キッチンから流れるように水回りを配置。寝室から浴室へと続く動線の中にはウォークスルークローゼットを設置し、家族の衣類を1ヶ所にまとめることで、目覚めてから身支度までを無駄なくシンプルな動線で済むよう配慮しました。
また、奥さまから大好きな北欧アンティーク家具に合う建築にして欲しいというご要望がありましたので、建築もインテリアも北欧家具を意識しながらデザインしていきました。北欧家具にうまく障子などの日本の文化もミックスさせて、他にはないオリジナリティー溢れるインテリアを目指しました。
じっくりじっくりお打合せを重ね、気が付けばお打合せだけで1年余り。お忙しいご主人に代わり奥様と私達との3人で北欧のアンティーク家具を遠方まで買い付けに行ったのも楽しい思い出です。
大きな片流れの屋根が特徴のこのお家は、メリハリのある空間に北欧のアンティーク家具を中心にインテリアをコーディネートした、カフェのような居心地の良い雰囲気。2階には屋根裏部屋のようなライブラリースペースがあり、とても楽しい住まいとなっています。夕暮れ時には明かりがともり、「帰りたくなる家」が実現できたと思っています。
※後日談:築3年経った2017年5月、奥様と小学生になったヒカちゃんと私たちの4人で、色が落ちてシルバーグレーになってきたデッキの塗装ワークショップを行いました。落ち着いたブラウンに生まれ変わったデッキはとってもいい雰囲気。その夜にはご主人も加わり、奥様の手料理をごちそうになって、楽しいひと時を過ごしました。幸せそうなご主人の笑顔が印象的でした。
施主からの要望・依頼
・家事動線のスムーズな家
・和でも洋でもない雰囲気
・北欧家具が似合うお家
・カフェのようなキッチン
・帰りたくなるようなお家
・ガレージから濡れずに玄関へ
・雨に濡れない自転車置き場
物件詳細
タイトル | ヒカハウス |
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所在地 | 佐賀県佐賀市 |
用途地域 | 市街化調整区域 |
敷地面積 | 253.03㎡ |
延床面積 | 125.94㎡ |
構造・規模 | 木造、地上2階 |
施工 | 池田建設 |
家族構成 | ご夫婦+子供1人 |
photo | FAKE.大野博之 |